Vol.4 内視鏡を使って、体の中を直接“見て・調べて・治す”
消化器内科は、胃や大腸などの「お腹の中」をカメラで直接見て、病気を見つけたり治したりする診療科です。内視鏡を使って、健診から精密検査や治療まで幅広く対応しており、検査・治療実績は年間9,000件以上にのぼります。
今回は、そんな“体の中を直接見て診断・治療する”消化器内科の強みについて、佐々木先生に詳しく話を聞きました。
Q1.当院の消化器内科で扱っている主な病気や治療内容について教えてください。
消化器内科は、食べ物の通り道である食道・胃・小腸・大腸といった消化管から、消化を助ける臓器である肝臓・胆のう・すい臓まで幅広く診療しています。
胃潰瘍などの良性疾患から、がんのような悪性疾患まで対応しており、それぞれの臓器ごとに専門医が揃っているのが当科の強みです。
Q2.その中でも、特に力をいれている分野や治療・検査は何ですか?
私たちが強みと考え、力を入れている分野が2つあります。
1つ目は、早期大腸がんに対する治療で、お尻から内視鏡を入れてがんの部分を体内で切り取るESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)です。
当院では年間100件以上の胃や大腸のESDを実施しており、中には累計1,000件を超える実績を持つ医師も在籍しています。大腸は胃と比べて壁が薄く、くねくねと曲がった細長い臓器なので、大腸ESDは難易度が高いと言われています。大腸がんは近年増加傾向です。こうした豊富な実績をもとに、高度な技術を用いて体への負担が少なく、安全な早期大腸がんの治療を提供できることが強みの1つです。
2つ目は、高度な技術が必要な胆のう、すい臓領域の検査・治療です。
EUS(超音波内視鏡)は、すい臓のように通常の内視鏡では見えない臓器の状態を、内視鏡の先端にある超音波装置で調べる検査です。すい臓に異常があった場合、細い針で一部を採取し、詳しく調べることも可能です。
また、重症化したすい炎によって、すい臓の周りに膿がたまった場合、以前は外科的な処置が必要でしたが、現在は内視鏡による治療が可能となり、患者さんの負担が少なく済むようになりました。
さらに、ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)という方法では、胆管やすい管に細いチューブを通し、詰まりや結石を取り除くことができます。これらは「内視鏡的な胆膵の治療」と呼ばれ、体を切らずに対応できるため、患者さんへの負担を減らすことが可能です。
このように、当院の消化器内科では、専門性の高い内視鏡技術を活かして、体に負担が少なく、安全な治療を実現できていることがもう1つの強みです。
ドクターメッセージ
“ESDやEUS。私たちの高度な検査や治療技術は、豊富な実績が支えています。”
地域の皆さんには、ぜひ健康診断などを積極的に受けていただき、お腹のことで気になる症状があれば、当院の消化器内科にご相談ください。
また、当院は地域の診療所やクリニックと連携しながら、消化器医療を支えています。初期の診察や内視鏡検査は、まず身近な医療機関で実施していただき、必要に応じて、当院がESDやEUSといった高度な検査・治療、また胆のう・膵臓などの専門的な分野に対応します。
地域の先生方と協力しながら、「診断」と「治療」の役割をうまく分担し、地域全体がひとつの大きな病院のように機能しています。今後もこの連携を大切にしながら、地域の皆さんの健康を支えていきます。
消化器内科代表部長 佐々木洋治
関連リンク
江南厚生病院 消化器内科