Vol.5脳神経外科が届ける安心、安全で質の高い治療
当院の脳神経外科は、脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷など幅広い疾患に対応しており、身体への負担を抑えた手術にも積極的に取り組んでいます。また、地域のかかりつけ医の先生方と連携し、症状の早期発見・早期対応にも努めています。
今回は、繊細で高度な技術が求められる脳神経外科の治療について、脳神経外科の水谷先生にお話を聞きました。
Q1.当院の脳神経外科では、どのような患者さんを診察していますか?
脳卒中や頭部外傷、脳腫瘍などの患者さんが多く受診されています。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりすることで起こる病気の総称で、高齢の方に多く見られます。
また、頭痛や手足のしびれ、ふらつきなどの軽い症状でも、背景に重大な病気が潜んでいる場合があるため、地域の開業医の先生方から「念のために検査を」とご紹介いただくことも多いです。
Q2.当院の脳神経外科の強みや特長を教えてください。
私たちが強みと考え、力を入れている点は2つあります。
1点目は急性期の脳卒中治療「血栓回収術」に対応できることです。。
これは、カテーテルを使用して、開頭せずに脳の血管から血栓(血の塊)を取り除く治療で、発症からの時間が後遺症に影響するため、病巣を見つけたら素早く治療するよう取り組んでいます。
2点目は外視鏡(がいしきょう)を活用した「モニターサージャリー」です。
脳神経外科の手術は、ほんの数ミリの誤差で、言語や運動に影響が出る領域です。小さな血管や神経の位置を立体的に、かつ正確に把握できる技術が必要とされます。
傷口が小さく、体への負担が少ない内視鏡手術はカメラを手術部位の近くまで寄せることができますが、1本の細い筒にカメラと手術用の器具を通して操作するため、器具同士が干渉しやすく、手元の操作が煩雑になり、熟練した技術が必要になります。
一方で、外視鏡は外から映すため、内視鏡手術のような特化した技術は必要ありません。外視鏡では4Kの高精細カメラで外から手術部位を映し出し、大型モニターで映像を共有します。そのため、より広く鮮明で立体的に視野を確保できます。モニターを通して、手術チーム全体が同じ映像を見て動けるため、判断のズレが起きにくく、安全性の高い手術環境を実現できています。
このような映像技術の導入は、脳神経外科のような精密さが求められる診療科では極めて重要で、当院では病変の位置や手術内容によっては、内視鏡あるいは外視鏡を使い分けて、患者さんの負担軽減と手術の安全性、質の向上に努めています。
Q3.地域の開業医の先生方とは、どのように連携されていますか?
開業医の先生方からのご紹介で、頭痛やしびれなどの症状の患者さんを診させていただくことが多くあります。重大な病気を早期に見つけることができれば、回復の可能性も高くなるので、気になる場合はご紹介いただいています。
また、当院では、脳卒中のような急性期疾患に対する治療体制だけでなく、今後は認知機能の低下に対する新たな検査、治療にも取り組んでいきます。この検査は、診療体制などに一定の基準があるため、対応可能な医療機関は限られています。
検査・診断の結果、当院で対応できる場合は治療を継続し、さらに高度な専門治療が必要な場合は、大学病院と連携して対応します。
ドクターメッセージ
脳の病気は、ある日突然、誰にでも起こる可能性があります。頭痛、めまい、ふらつきなどの症状が気になる時は、受診をためらわずに、かかりつけの先生に相談していただくことをおすすめします。
当院の脳神経外科は、地域の皆さんが安心して暮らせるよう、日々の診療と向き合っていますので、気軽に受診ください。
脳神経外科代表部長 水谷信彦
関連リンク
江南厚生病院 脳神経外科