Vol.7 呼吸器疾患に、早く、正確に、丁寧に。
呼吸器内科は、肺や気道に関わるさまざまな疾患に対応し、私たちの暮らしに直結する“呼吸機能”を守る診療科です。
今回は、呼吸器内科の日比野先生に、診療の現場や取り組みについてお話を伺いました。
Q1.当院の呼吸器内科には、どのような疾患や患者さんが受診されていますか?
肺がんを中心に、肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺炎など様々な呼吸器疾患に幅広く対応しています。特に肺がんの患者さんが多く、外来での診察から入院、治療に至るまで当院で一貫して対応するケースが増えています。
また、近年は高齢化の影響で、間質性肺炎や肺炎の患者さんが増加傾向にあります。肺がんも高齢になるほど発症リスクが高まるため、今後は肺がんの患者さんも増えていくと予想されます。
Q2.肺がんを診断するためには、どのような検査を行いますか?
肺がんが疑われる場合には、確定診断のために気管支鏡検査を行うことが多いです。
この検査は、口から細い内視鏡を挿入し、気管支を通って肺の奥にある病変組織を採取する検査です。胃カメラよりも細い機器ですが、空気の通り道である気管に挿入するため、患者さんにとっては身体的な負担が大きく、苦痛を感じやすい検査でもあります。 そのため、鎮静剤を用いて患者さんの不安や苦痛を軽減するほか、複数の医師・スタッフで検査に臨み、補助・緊急対応が必要な場合に、スムーズかつ安全に対応できるよう準備しています。
また、患者さんの状態に応じて、通常の気管支鏡を行う検査日以外でも緊急や準緊急に対応可能な体制を整えています。これによって速やかな診断と、治療への早期移行を実現しています。
Q3.肺がんの治療に関して、当院の強みや特長は何ですか?
肺がんと診断された後も、当院ではがん三大療法である手術・放射線治療・薬物療法のそれぞれに対応できます。
各診療科や多職種が連携し、患者さん一人ひとりの病状やご希望に合わせて、より良い治療方針を一緒に考えていきます。なかでも進行した肺がんでは、薬剤選択が治療効果に大きく影響するため、遺伝子検査を積極的に活用しています。1日でも早く治療を開始できるよう、病理医や検査技師と密に連携し、タイムラグを最小限に抑える体制を整えています。
肺がん治療は日々進歩しており、1年前の標準治療が新たな治療に更新されていることも珍しくありません。そのため当院では、常に最新の治療情報を取り入れられるよう、院内外での勉強会や情報収集を積極的に行い、診療体制の質の向上に努めています。
Q4.地域の皆さんができる、肺がんの早期発見とは?
日本において、肺がんは罹患率の高いがんの1つです。高齢化と喫煙率の高さが主な要因とされています。
肺がんの早期発見には、地域の皆さん一人ひとりが、定期的に健康診断を受けることが重要です。特に、胸部レントゲン検査は基本的なスクリーニングとして有効です。さらに、喫煙経験のある方や肺がんのリスクが気になる方は、CT検査を受けるのも1つの方法です。
また、現在喫煙されている方は、禁煙することでリスクを下げられるため、できるだけ早く禁煙することをおすすめします。
ドクターメッセージ
地域の皆さまが安心できる“呼吸器の専門窓口”を目指して
咳や痰、息切れ、胸の痛みなど、呼吸に関わる症状が長く続く場合は、早めにかかりつけの先生やお近くの医療機関へご相談いただくことをおすすめします。必要に応じて、地域の先生方から当院をご紹介いただければ、できる限り迅速に診断・治療につなげられるよう対応いたします。
進行した肺がんのように、一日も早い治療開始が求められる疾患に対しては、柔軟な対応とスピード感をもった診療体制を整えています。
日常的な呼吸の不調から、命に関わる疾患まで、私たちは、“呼吸器の専門窓口”として、地域の皆さまが安心してご相談いただける場所でありたいと考えています。
呼吸器内科代表部長 日比野佳孝
関連リンク
江南厚生病院 呼吸器内科