Vol.10 地域全体で腎臓疾患を早期に捉え、腎機能の低下を積極的に抑制する~症状が出てからでは遅い。予防と治療の両面で患者さんを支える~
慢性腎臓病(CKD)は、症状がほとんど現れないまま進行し、気づいた時には透析が必要な段階に至っていることが多くあります。江南厚生病院 腎臓内科では、地域のかかりつけ医や行政と連携しながら、これまでの対処療法から、腎機能の低下を積極的に抑制し、透析開始を阻止する「攻めの治療」を目指しています。今回は当院の腎臓内科代表部長である小島先生にお話を伺いました。
Q1.腎臓内科ではどのような患者さんを診療されていますか?
当院では、慢性腎臓病(CKD)や急性腎障害、膠原病、電解質異常などの患者さんを診ており、腎臓移植以外のことは全て対応可能です。もちろん病状に応じて、適切に、より高次の医療機関へ紹介します。
Q2.腎臓疾患の特徴について教えてください。
CKDの最大の特徴は、透析が必要になるまで、自覚症状が現れにくいということです。検査では数値の異常が出ていても患者さん本人には症状がないため、「緊急性を感じにくい」というのが腎臓疾患の難しいところです。だからこそ、検査や健診で異常が見つかった段階で、かかりつけ医や当院への受診につなげていく体制が重要になります。
勿論、他の臓器と同様に、腎臓の機能も加齢とともに低下していきますが、腎疾患を発症すると、より速い速度で腎機能が低下します。その場合であっても、早期に発見して適切な治療を行うことが出来れば、その進行を穏やかにして、透析が必要になる時期を先送りすることが出来ます。
加えて、腎機能の低下の恐ろしさは、単に「透析が必要になる」ことだけではありません。 腎機能の低下した方は、正常な腎機能を持つ方に比べ、心筋梗塞や脳卒中などの心血管病による死亡リスクが数倍から十倍強まで跳ね上がることが分かっています。
Q3.透析が必要になった患者さんには、どのような体制で対応されていますか?
急性期病院である当院の役割は、一般的な透析クリニックと異なります。透析センターで慢性腎不全患者さんの維持透析を実施するとともに、集中治療室では、重症患者さんに対して、持続的血液濾過透析、エンドトキシン吸着、血漿交換、二重濾過血漿交換など、様々な急性血液浄化療法を実施しています。
特に透析センターでは、日常的な維持透析を提供するよりも、他院の透析患者さんが他の病気で手術や緊急治療が必要になった際の受け入れを重視し、緊急入院の透析患者さんを断らないことを最優先にしています。この体制があるからこそ、他の診療科も透析患者さんの治療を適切なタイミングで行えます。
Q4.一方で、透析にならないための予防的な取り組みもあると伺いました。
適切なタイミングで専門医に紹介できるよう、自治体・医師会・薬局が一体となったCKD対策ネットワークの構築を目指しています。
CKD患者さんの多くは、かかりつけ医の先生方が継続的に診療してくださり、地域全体を見守っています。その上で、よりステージの進んだCKD患者さんは、専門医との連携がより良い治療成果につながります。そこで江南市役所や尾北医師会と協力し、特定健診で異常が見つかった方への受診勧奨案内に腎臓専門医の情報も盛り込み、かかりつけ医の先生方と専門医がスムーズに連携できる仕組みとしています。
進んでいる地域では、薬局も参画して、お薬手帳に腎機能状態を示すシールを貼り、関係者が一目で患者さんの状況を把握できる取り組みを構築しているところもあります。この地域でも、将来的にはそのレベルまで発展させたいと考えています。
ドクターメッセージ
生活習慣病の管理が、腎臓を守ることに大切です。
CKDの原因も、高血圧・糖尿病・高コレステロール血症などの生活習慣病です。
腎臓を守るためには日頃からの適切な管理が大切です。
特定健診の結果で気になる数値があれば、まずはかかりつけ医にご相談ください。そして必要に応じて、専門医を紹介してもらってください。
腎臓は症状が出にくいからこそ、定期健診が大切です。
腎臓内科代表部長 小島博
関連リンク
江南厚生病院 腎臓内科