Vol.11 排尿の悩みから、結石やがん治療まで。確かな技術と豊富な経験で、地域医療を支える
当院の泌尿器科には、日常生活の中で気づく身近な症状から、がんや尿路結石など専門的な治療が必要な病気まで、幅広い患者さんが受診しています。今回は泌尿器科の代表部長である坂倉先生にお話を伺いました。
Q1.泌尿器科ではどのような患者さんを診療されていますか?
泌尿器の悪性腫瘍や尿管結石、そして、排尿トラブルを抱えた患者さんが最も多く、次いで、尿道カテーテルに関するトラブルにも時間内・時間外を問わず対応しています。
Q2.膀胱がんや前立腺がんは、どのような検査で発見されることが多いですか?
膀胱がんは、血尿や健康診断(健診)での尿検査で発見されることが多いです。ただし、血尿はがんだけでなく、結石や炎症などさまざまな原因が考えられるため、CT検査や膀胱内視鏡検査、がん細胞の有無を調べる尿細胞診などを行います。
前立腺がんは、検診のPSA検査で発見されることが多い病気です。PSA検査は血液検査で一般的には50歳頃から受ける方が多いですが、家族に前立腺がんの方がいる場合は40代からの受診をお勧めします。異常が見つかった場合は、超音波検査で前立腺の状態を確認し、MRI検査で詳しく調べたうえで、針で組織を採取する針生検を行って最終的な診断を行います。
Q3.治療における当院の強みを教えてください。
強みは前立腺がんと前立腺肥大症の治療です。
前立腺がんの主な治療は、手術支援ロボット「ダヴィンチ」を用いた低侵襲な手術や、がん以外の細胞にはなるべく放射線があたらないよう調整して照射可能なトモセラピーによる放射線治療に強みがあります。しかし、がんの広がりや状態によって治療方針が変わるため、がんが見つかったからといって、すぐに手術を行うとは限りません。がん治療は精神的・身体的負担が伴い、患者さんの生活に大きく影響します。そのため、悪性度が低く、すぐに治療を行わなくても良い場合は、定期的に経過を確認する「アクティブサーベイランス」を選択することもあります。これは、経過を慎重に見ながら、進行の兆候があれば根治治療を検討する方法です。前立腺がんの治療では、がんの性質、年齢、全身状態、患者さんの希望を踏まえ、治療方針を一緒に考えていきます。
前立腺肥大症は、男性の前立腺が大きくなりすぎることで、尿道が圧迫され、尿が出にくい、排尿に時間がかかる、夜間に何度もトイレに起きるなどの症状がでる病気です。当院では尿道を圧迫している部分を取り除く「HoLEP(ホーレップ)」という手術を行っています。HoLEPは尿道から器具を入れ、尿道を圧迫している前立腺の一部をレーザーで切除する治療です。お腹を切らない体への負担が少ない治療で、排尿状態の改善を目指します。特に当院では、これまで積んできた経験と技術を活かして、一般的には対応が難しい100gを超えるような大きな前立腺肥大症にも対応できるため、遠方の医療機関から紹介をいただくこともあります。
また、手術が難しい方には、肥大した部分を押し上げて尿の通りを良くする新しい治療法である「ウロリフト」による対応も可能です。
Q4.地域の患者さんから、どのような相談が多いですか?
「夜中に何度もトイレに起きる」という夜間頻尿の相談を多く受けます。これは前立腺肥大症の症状の1つですが、泌尿器科疾患が必ずしも原因とは限りません。
例えば、夜間頻尿の8割は水分を摂りすぎていることが原因です。本人は水分を多く摂っている自覚がないため、排尿日誌をつけることで気づくケースもあります。まずは生活習慣を見直し、それでも改善がみられない場合には、詳しい検査を行います。
他にも、尿路結石による強い痛みで救急外来を受診される方も多いのですが、結石は食生活や生活習慣と関係しているため、治療だけでなく、再発予防に向けた生活面の見直しも大切です。当院では、取り除いた結石の成分を調べ、その結果に応じて食事や生活習慣について説明することもあります。薬や手術だけでなく、生活の中でできることを一緒に考えていくことも、泌尿器科診療の大切な役割です。
一方で、血尿が出た場合は、痛みがなくても医療機関を受診してください。また、検診でPSA異常を指摘された方も、早めに医療機関へご相談ください。
ドクターメッセージ
血尿や排尿のトラブル、そのままにしていませんか?
泌尿器の症状は、「恥ずかしいから」「年齢のせいだから」と受診をためらってしまう方が少なくありません。しかし、血尿や排尿障害、突然の強い痛みなどの症状には、治療が必要な場合もあります。心配なことがあれば、一人で悩まずご相談ください。
当院で対応していない疾患や、女性の排尿障害・尿失禁などは、専門的に診療している医療機関へ紹介し、地域の中で役割を分担しながら対応していきます。気になることがあれば、まずはかかりつけの先生へご相談ください。
泌尿器科代表部長 坂倉毅
関連リンク
江南厚生病院 泌尿器科